2011年09月09日

震災復興支援・こころをつなぐアートプロジェクト -南相馬市立上真野幼稚園

9/9(金) 9:30-11:30 南相馬市立上真野幼稚園

「げいじゅつ大サーカス!」
講師:今井紀彰(いまいのりあき/写真家・美術家)

9:30-10:30 4歳児16名 保育士1名 10:30-11:30 5歳児28名 保育士2名

「からだであそぼう!」
講師:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)

9:30-10:30 5歳児28名 保育士2名 10:30-11:30 4歳児16名 保育士1名

参加人数:計94名(のべ)げいじゅつ大サーカス計47名、からだであそぼう計47名)

助成:アモーレ・パシフィック
協力:福島県立博物館


外で遊ぶことができない上真野幼稚園では、室内でも思いっきり身体を動かして表現する身体のワークショップ「からだであそぼう!」と、室内でも想像力を使って心で遊ぶ3つの造形アートワークショップ「げいじゅつ大サーカス」を4歳児と5歳児のクラスごとで1時間ずつ交代で行いました。

「からだであそぼう!」


普段はホールで遊んでいるという子ども達。保育士さんのお話では「みんながのびのび走り回れるような状態ではない」とのことでした。そんな時だからこそと、楽しくからだを動かせる新井英夫さんのワークショップ「からだであそぼう!」を行いました。
まずは5歳児さんから。「あらいさ〜ん!!!」と子どもたちの元気な声で、登場したのはピンク色の布のチューブをまとったチューブ人間。一見ユーモラスな参加者に笑いだす子ども達。けれど得体のしれない動きをする正体不明の存在に、だんだんと後ずさりして、近づいてくると「キャー!」と逃げ回りました。新井さんがチューブから顔を出しても、あいさつの握手を求めても逃げ回る子までいました。

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輪になってお互いをやさしくマッサージした後、くねくねブラブラした動きの途中でピタッと止まったり、手をつないで輪になりくぐりあったり、音に合わせてちょっとずつ雪だるまがとけるような動きをしたり。少しずつ複雑になってくる活動にも、子どもたちの集中は途切れません。新聞紙を使った活動では、最後に細かくちぎった小さな切れ端をたくさん集めて「花火」に。からだいっぱいに伸ばし幾度も「花火」を打ち上げました。

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次は4歳児さん。チューブ人間が登場すると、はじめはきょとんとした様子。ところが、ふとした瞬間にスイッチが入ったようで、泣きだす子が続出しました。けれど新井さんがチューブから顔をのぞかせると「なーんだ」といったふうに、今度はころっと笑顔になっていました。

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本日2つ目のワークショップのためか、はじめは「つかれちゃった〜」という声も聞かれましたが、活動にのってくると、そんな声もすぐどこかへ。最後は「楽しかった!汗かいちゃった!」と元気に答えてくれました。楽器の音を一人ずつ順に出す時も、それぞれの子が自分の番までじっと待ち、最後まで友だちの鳴らす音をよく聴いて集中していました。最後は、布のチューブのトンネルをくぐってお別れです。長いチューブに幾人もの子どもたちが入ると、もこもこと動く何とも不思議な生物のようになっていました。このチューブは日常の保育でも使ってもらおうと、プレゼントさせて頂きました。今後ど楽しまれるのか、それもとても気になるところです。

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4,5歳児さんとも、楽しみながらみっちりとからだを動かした1時間でした。くねくねしたり、奇妙なポーズでストップしたり、やさしく触れ合ったり、普段あまり使わないところがたくさん刺激され、泣いたり笑ったり、こころもからだも動き回りました。「子ども達もよく眠れるのでは」と保育士さん。ご参加いただいた保育士さんも楽しんで活動に加わってくださり、とてもパワフルで和やかな活動になりました。(近田明奈)

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「げいじゅつ大サーカス!」

上真野保育園との橋渡しをしてくださった福島県立博物館の金澤学芸員、大阪大学から調査に来ていた臨床哲学の本間さん、同学院生辻さん、南相馬で制作活動をしていた筑波大学院生のなっちゃんがスタッフとして入りました。

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『なんでもスイッチ』では、今井さんが子どもたちと話をしながら進めていきました。前日仙台の仮設住宅で制作された作品を触り「カチ、カチ」という感触と音を面白がり「自分もつくってみたい!」という気持が沸いてきたようでした。ベースのかたちをつくったあとは、ペンを使って彩鮮やかに思ったものを描いていきました。出来上がったスイッチは、TVヒーローに変身したいスイッチや、虹がでるスイッチなど子どもらしい夢もありましたが、「サッカーができるスイッチ」など切ない願いもありました。

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『色ラボ』では何度も繰り返す子どもたちがかなりいました。自分のビンに4色のインクを垂らして変化していくことが面白く、黒い濁った色になってしまっても、「この色なにかな?」と聞いてみると「チョコレートになるジュース」「魔法がつかえるの」とか「ぼくはきらいだけどお兄ちゃんが好きなお茶色」とかそれぞれ感じたことが沸いて出てきました。窓淵にできあがった色を並べて行く際も、自分の置きたい場所をちゃんと考えていました。微妙に違う色がいくつも並んでいても自分のつくった色は把握していて、スタッフがつけた色の名前も愛おしんでいました。透明度のある色ビンの下に手をかざしてみたり、逆光だと違ってみえことを発見したり、色を見ながら新たな遊びを見つけていました。

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『この辺で顔をさがせ!』では 4歳児さんはなっちゃんお姉さんと一緒に探していましたが、5歳児さんはスタートするやいなやすぐに顔を見つけだし、カメラ担当の辻さんと本間さんはひっぱりダコ状況になりました。また撮影ショットにも「この部分はいらないよ」など、しっかりイメージをもって制作していました。キャラクターも様々。子どもたちはいろいろな想像の目で、いつもの見慣れた場所をいっぺんに楽しい空想の場へ変えていました。

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保育士さんも「楽しかった〜」といってくださり、このあとからも今回のワークショップを発展させていってくださればいいなと思いました。(加藤直子)

終わった後のフィードバック。保育士さんからは、「みんなで一緒に活動できたこと、お互いにふれあうことができたことが良かった」「一時間集中できていてびっくりした」「なかなかのびのび表現できないけど、今日は良くできていた。」「それぞれの工作コーナーに楽しみがあって、どの子も楽しんでいた。」「表現に自分が出ていたのがよかった」と。福島県立博物館の金澤さんは「子ども達の反応がすべてを語っている。これが何かの種になると思う」、南相馬市の仮設でも活動しているなっちゃんは「仮設では家がなくなったとか放射能で、、、という悲惨な話をたくさん聞いた。でも子ども達はとても楽しそうでよかった」と。新井さんは「表現したい強い欲求というのは感じられたが、被災地ということで構えていたが、一人一人と向き合うと東京の子と変わらない。」今井さん「5年くらいの長いスパンで関わっていきたい」と語ってくださいました。最後に保育士さんが「これからも是非来て欲しい」とおっしゃってくださり、ぜひこの活動を続けていきたいと強く感じました。(三ツ木紀英)

助成:アモーレ・パシフィック

アーティスト:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)、今井紀彰(いまいのりあき/写真家・美術家)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈・加藤直子)
協力:福島県立博物館

posted by ARDA at 00:45 | 震災復興支援プロジェクト